投資信託に係る言葉や仕組みは独特のものあり、とっつきにくい印象を持つ方も多いかと思います。
今回は
- 投資信託の種類
- 購入や換金による分類
- 分配金の有無
- 上場投資信託
など、投資信託の大まかな分類や、仕組みについてを纏めました。
投資信託について基礎から学びたいという方は是非この記事を読んでください!
※当ブログは投資信託への投資を勧めるものではなく、あくまで一般的な事項を説明をするためのものです。
投資信託の種類
投資信託は、投資家から集めた資金をまとめて、投資の専門家が株式や債券などに投資・運用し、その利益を投資額に応じて投資家に分配するしくみの商品です。
大まかな分類は下図の通りです。
投資信託の種類
契約型投資信託
契約型投資信託とは、もっとも一般的な投資信託のタイプです。
委託者(運用者、投資信託会社など)と受託者(財産保管者、信託銀行など)との間で信託契約を結んでいる投資信託です。委託者指図型は、投資家と委託者および受託者の3者で構成されます。
なお、委託者が、販売会社を通さずに直接販売する投資信託もあります。
信託財産の名義は、「受託者」で、信託財産は分別管理されます。従い、販売会社・委託者・受託者が破綻した場合でも、時価で保全されます。
図 契約型投資信託の関係
上の図のように、この投資信託には、販売会社(証券会社など)、委託者(投資信託会社など)受託者(信託銀行など)の3者が関わります。
以下にそれぞれの役割を整理します。
販売会社(証券会社など)の役割
- 投資信託の販売と売却の受付
- 分配金や償還金の交付
- 報告書の交付
委託者(投資信託会社など)の役割
- 信託財産の運用指図
- 目論見書や運用報告書の作成
- 基準価格の計算
受託者(信託銀行など)の役割
- 委託者からの指図に基づいた運用執行
- 信託財産の管理保管
会社型投資信託
委託者指図型 と 委託者非指図型
委託者指図型とは、委託者が受託者に運用を指図するタイプの投資信託をいいます。
これに対して、委託者非指図型は珍しいタイプの投資信託で、委託者(投資家)が受託者(運用兼保管会社)に運用を指図できないタイプです。
証券に投資することは禁止されており、証券以外の金融資産と不動産で運用します。
証券投資信託 と それ以外の投資信託
投資信託の投資対象は、証券投資信託と、それ以外の投資信託に分類されます。前者は、さらに株式投資信託と公社債投資信託に分かれます。
- 株式投資信託:運用対象に株式を組み入れることができる投資信託
- 公社債投資信託:運用対象に株式を組み入れることができない投資信託
証券投資信託以外の投資信託とは、株式や公社債以外を運用対象とする投資信託をいいます。
たとえば、国内不動産を運用対象とするものには。主なものとして、会社型投資信託であるJ-REITがあります。また、商品や海外の住宅ローン債権に投資するものもあります。
購入タイプによる分類
投資投資信託の募集期間によって、以下の分類がなされます。
- 単位型(ユニット型):募集期間が設定されており、信託期間もあらかじめ定められているタイプの投資信託
- 追加(オープン型):いつでも購入や売却が可能で、信託期間が極めて長いか、定められていないタイプの投資信託
換金タイプによる分類
投資信託の換金タイプによって、以下の分類がなされます。
- オープン・エンド型:委託者が解約受付の義務を負っている、つまり、投資家がその時の純資産価格に基づいて解約できる投資信託。ただし、一定期間は解約できないクローズド期間(解約禁止期間)が設定されている場合もある
- クローズド・エンド型:委託者が解約受付の義務を負っていない、つまり、投資家が解約できない投資信託。投資家が換金するためには市場で売却する。なお、J-REITがこれにあたる。解約したい場合、投資家は買い手を探さなければならないが、個人で希望の価額での買い手を探すのは難しい。そこで、実際に上場しているJ-REITは、証券取引所での売却により換金することができる。この際、J-REITは市場価格に基づいて取引されるので、必ずしも純資産価額とは一致しない。純資産価額より高く取引されることもあるし、低く取引されることもある。
分配金の有無による分類
分配金とは、投資信託の運用によって得られた収益などを決算ごとに投資家に一部分配するお金のことです。
この分配金の取り扱いによって、以下のように分類されます。
- 無分配型投信:ファンド内の収益が課税されることなく再投資されるので、複利効果が大きい。
- 分配型投資信託(分配金再投資型):分配金がいったん課税されて再投資される。一定期間ごとに分配金が再投資されるので、無分配型より劣るが、同様な複利効果が得られ、投資口数が増加する。
- 分配型投資信託(分配金受取型):いったん課税されて分配金を受け取ることとなるが、その分配金をタイプのことなる投資信託へ投資すれば投資先を分散できるので、運用を安定したものとすることができる。
投資信託の運用による分類
投資信託の運用手法は、アクティブ運用とパッシブ運用に大別されます。
アクティブ運用
- 市場動向や個別銘柄の組み入れを精査してベンチマークを超える運用収益をあげることを目標とする手法です。
パッシブ運用
- ベンチマークと連動するように運用資産を構成する手法です。
- ベンチマークとは、運用の指標としている基準のことで、 投資信託が投資対象とする商品や市場の各種の指数が使われます。 例えば、日本株に投資するような投資信託であれば、日経平均株価などの指数が使われます。
アクティブ運用
アクティブ運用は、運用手法によりトップ・ダウン・アプローチとボトム・アップ・アプローチに分けられます。
トップ・ダウン・アプローチ
- 経済状況や金利・為替など、マクロ的な観点から国別・資産別・業態別の運用資産の構成を決定
- 決定した構成割合の中で組み入れる個別銘柄を決定
ボトム・アップ・アプローチ
- 個別企業の行政を重視して組み入れる銘柄を決定
- 採用個別銘柄の積み重ねでの運用資産の構成
パッシブ運用
パッシブ運用は、指数に連動した運用を目的とするため、インデックス運用ともいわれます。
時価加重平均連動型
- 市場は、すでにあらゆる株価変動要素を織り込んでおり、それらの株価によって市場インデックスは構成されているのだから、インデックスを超えた収益を得るのは難しいという考え方(効率的市場仮説)に基づく運用手法です。
- TOPIX(東証株価指数)は、時価総額を加味し、加重平均を用いて算出している。一方で、日経平均株価は225銘柄の単純な株価の平均で算出している。
時価加重平均連動型以外の連動型
- 従来の時価加重平均による個別銘柄の選定は。結果として、株価が割高な銘柄を選択することになってしまうという反省から、TOPIXなどの時価加重平均や市場全体の値動きを示す日経平均などの平均株価以外を銘柄組み入れの基準とした指標をもとに運用します。このとき用いる指標の総称をスマート・ベータといいます。
- ROE型や低ボラティリティ型、PER型などがスマート・ベータとして採用されています。
- ROEを基準要素とするJPX日経インデックス400はその代表的な指標です。JPX日経インデックス400は東証一部、二部、マザーズまたはJASDAQに上場する全銘柄から上場後3年未満、債務超過や3年連続の営業赤字や最終赤字の会社をこの指標から除外します。そして、直近3年間の売買代金、選定基準日の時価総額によって上位1000銘柄を選定します。そこから更に、この1000銘柄について順位付けします。順位付けの方法は、下記の項目で加点します。
-
- 3年平均ROE(株主資本利益率):40%
- 3年累積営業利益:40%
- 時価総額(選定基準日時点):20%
加えて、独立社外取締役2人以上、IFRS採用、英文資料の開示で加点し、最終的にスコアが高い400銘柄が選定されます。
上場投資信託
上場投資信託は、委託会社が組入銘柄や、その配分を決定する通常の投資信託とは異なり、ある一定のインデックスや商品価格に連動させるもので、組入銘柄はほぼ固定されています。
ETFやJ-REIT、インフラファンドなどがこれにあたります。
上場投資信託の取引方法は株式とほぼ同じとなります。通常の投資信託との違いは以下の通りです。
通常の投資信託 | 上場投資信託 | |
取得価額 | ブラインド方式※1 | 成行 または 指値 |
時価 | 一定時点で公表 | 市場でのリアルタイム |
信用取引 | 不可能 | 可能 |
コスト |
販売手数料 信託財産留保額 |
売買委託手数料 信託財産留保額※2 |
※1 購入時点で購入価格が分からない購入方式。
※2 一部、かかるものがある。
ETF
ETFの運用のしくみは以下の2つがあります。
- 現物出資型:機関投資家等が株式等を委託会社に預けて、それをもとに委託会社が商品を組成
- リンク債型:機関投資家等が委託会社に金銭を拠出し、委託会社がその金銭をリンク債に投資して組成
J-REIT
投資法人という会社型の投資信託で、債券の発行により投資家から集めた資金や銀行等からの借入資金をオフィスビルなどの不動産で運用し、そこから得られる賃貸収入や売却益などを分配金等として投資家に還元する投資信託です。
- クローズドエンド型の投資信託。解約できないので取引所での売却により換金する
- 収益分配金は、決算日における最終の投資主名簿に記載された投資主に支払われる
- 配当可能利益の90%超を分配するなど一定の要件を満たすことで、実質的に投資法人に法人税がかからないようになっている。
まとめ
今回は
- 投資信託の種類
- 購入や換金による分類
- 分配金の有無
- 上場投資信託
など、投資信託の大まかな分類や、仕組みについてを学びました。
投資信託について基礎から学びたいという方の参考になれば幸いです。