2020年3月23日に日本銀行の黒田総裁が、「ETF について、従来の2倍のペースで積極的に買い入れる」旨の発言をいたしました。(出展:日本銀行ホームページ)
ここで、
「ETFって何?」
「そんなに買って大丈夫?」
「これからどうなるの?」
などとと思った方のために、日銀によるETFの買い入れを分かりやすく5分で解説します!
この記事を読めば、
- ETFとは?
- 日銀によるETF買い入れの仕組み
- 買い入れの理由
- 何を買っているのか?
- これまでの推移とこれからの予想
等がわかります!是非、ご一読ください^^
そもそもETFとは?
ETFとは「Exchange Traded Fund」の略です。
日本語では「上場投資信託」といいます。
「投資信託」とは、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品」のことです。
ETFは、一般的な投資信託と異なり、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウ等の株式指数などに連動するように運用されている投資信託の一種です。
また、ETFは証券会社に口座を開けば、株式のように誰でも手軽に売買することができます。
超簡単に言うと、「株式の袋詰め」といったところでしょうか?
ETF買い入れの仕組みは?
「日銀のETF買い入れ」と表現しましたが、実は、直接日銀がETFを買うのではなく、信託銀行へ日銀が委託してETFの購入を行っています。
簡単に言うと、信託銀行が買ったETFを日銀が買っているようなイメージです。
したがって、間接的にETFに含まれる株の所有者は日銀になるのですが、名目上の所有者は信託銀行となります。
したがって、日銀が大株主として名簿に表記されることはありません。
なぜETFを買い続けるのか?その理由は?
なぜ、日銀はETFを買うのでしょうか?
日本銀行の黒田総裁は、質的・量的金融緩和の目的について、2017年11月のスイス・チューリッヒ大学の講演にて次のように述べています。
ここで、質的・量的金融緩和とは、日銀が行っている国債・ETF・J-REITの買い入れ全体のことを指します。
「日本銀行は、2%の「物価安定の目標」を実現するため、「量的・質的金融緩和」と呼ぶ枠組みのもとで、強力な金融緩和を進めています。」
(出展:日本銀行ホームページ)
つまり、物価が下落していくデフレーションを解消し、物価を上昇させるインフレーションを起こすことを目的として、ETFの買い入れを行っていることがわかります。
日銀が買っているETFの銘柄は?
2020年4月に発表した今後行うETF買い入れの銘柄は、次の通りです。
- 約75%:TOPIXに連動するETF
- 約25%:TOPIX、日経平均、JPX日経400に連動するETF
(出展:日本銀行ホームページ)
買入額の配分 | |
TOPIXに連動するETF | 約75% |
TOPIX、日経平均、JPX日経400 に連動するETF |
約25% |
また、これに加えて、「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するため の指数連動型上場投資信託受益権買入等に関する特則」として、JPX日経400に連動するETFなどの買い入れを別途行っています。
なお、この特則に準じて設計されたETFも日銀の買い入れ対象となります。
ETF買い入れ額の推移は?
日銀のETFの買い入れがスタートしたのは、2010年12月です。
リーマンショックで低迷する株価や景気を底上げすることを目的としていました。
その後、2013年に黒田総裁によって、「量的・質的金融緩和」が導入され、ETF購入額が拡大していきました。
購入額は2018年に一旦頭を打ち、2019年には減りましたが、コロナショックが起きた2020年にはまた購入額が拡大する見込みです。
日銀のETF,J-RETの買い入れ額(兆円)
年 | ETF | J-REIT |
2010 | 0.02 | 0.00 |
2011 | 0.80 | 0.06 |
2012 | 0.64 | 0.04 |
2013 | 1.10 | 0.03 |
2014 | 1.28 | 0.04 |
2015 | 3.07 | 0.10 |
2016 | 4.38 | 0.24 |
2017 | 5.61 | 0.30 |
2018 | 6.21 | 0.29 |
2019 | 4.09 | 0.20 |
買い入れはいつまで続けるのか?
今、日銀は株式投資家にとって、下がっても買い支えしてくれるありがたい存在です。
通常は株価が下がると、株を買い控える人が増えて、大きな下落を起こしてしまう場合があります。
しかし、日銀は今株価に関わらず、一定の買い入れを行ってくれます。従い、大きな株価の下落を防いでくれいています。
逆に言うと、もし日銀の買い入れが減ってしまうと、株価にとっては不安要素になるのです。
一方で、日銀が購入したETFは遂に市場全体の5%程度となり、日銀としては、2019年がそうであるように、そろそろETFの買い入れを減らしていきたいようです。
しかし、ETF買い入れの目的であるインフレ目標になは到達していません。
かつ、やめてしまうと、株価の大きな下落を起こしてしまうかもしれません。
日銀は、買い入れ継続を続けるかどうかの難しい局面にあると言えます。
まとめ
今回は、日本銀行によるETFの買い入れについて
- ETFとは?
- 日銀によるETF買い入れの仕組み
- 買い入れの理由
- 何を買っているのか?
- これまでの推移とこれからの予想
などをまとめました。
これらをご理解いただいた上で、これからの日銀の判断に注目していただけると良いのかな、と思います。