昨年7月2日GDPについての記事を書きました。
GDPって何?消費税増税やコロナショックの影響を分かり易く解説します!!
あれから約1年超、ここまでコロナ禍が続くとは私も予想しておりませんでしたが、その後のGDPの動きや世界の動きを追ってみたいと思います。
- コロナ禍における経済の動きを理解したい方
- これから日本はどうなるのかを知りたい方
は是非、この記事を読んでください。
少しだけGDPを復習
GDPとは、ある一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの「付加価値」の合計のことを言います。
より平たく言うと、GDPとは『日本国内で一定期間内に生み出されたモノやサービスを生産することで得られる「もうけ」の合計』になります。
GDPは「もうけ」の合計であると同時に「私たちの収入」の合計であり、「私たちの支払ったお金」の合計です。
少し難しい言葉で整理すると、生産面のGDP、分配面のGDP、支出面のGDPは常に等しく、これを「GDP三面等価の原則」といいます。
2019年~現在の日本のGDPは?
表 年別実質GDP推移(前年比、4半期は前期比)
2019年 | 2020年 | 2021年 | |||||||
1- 3月 | 4- 6月 | 7- 9月 | 10-12月 | 1- 3月 | 4- 6月 | 7- 9月 | 10-12月 | 1- 3月 | 4- 6月 |
0.6 | 0.4 | 0 | -1.8 | -0.5 | -7.9 | 5.3 | 2.8 | -0.9 | 0.3 |
-0.5% | -4.5% | - |
2020年は景気対策として、以下の3度の補正予算が組まれました。
補正予算とは、緊急やむを得ない場合などに、本予算と別で、予算の追加などの変更を行うものをいいます。
- 第1次補正予算 約25.5兆円
- 第2次補正予算 約31.9兆円
- 第3次補正予算 約19.2兆円
- 合計76.8兆
毎年の本予算が毎年100兆円くらいであることを考えると、追加の経済対策である補正予算はすごい金額ですね!
にもかかわらず、上記の表のとおり、2020年は経済成長率(実質GDP成長率)が-4.5%となってしまいました。
これはコロナのダメージが大きかった諸外国と比べても悪い数値になります。
GDP三面等価の法則から、私たちの所得が合計約25兆円くらい減ってしまったことになります。
それは、なぜなのでしょうか?
経済対策はどうなったの?
2021年7月30日に発表された財務省の令和2年度決算によると、令和2年度の国の一般会計予算のうち、その2割弱の30兆7804億円が使い切れず、令和3年度予算に繰り越しになったとのことです。(出展:令和2年度決算概要)
せっかくの経済対策も、使われていなかったのでは意味がありません。
30兆円と言えば、GDPの約6%にもなります!
これがしっかりと使われていれば、昨年の経済成長率はもっと高かったはずです。
なお、繰り越しの内訳は以下とおり。(出展:産経新聞)
表 令和3年度への繰越金の主な項目と見通し
主な項目 | 金額 | 見通し |
企業の資金繰りを支援する実質無利子・無担保融資 | 6.4兆円 | 今後も事業者の利用が見込める |
医療機関向け緊急包括支援交付金 | 1.5兆円 | 病院の申請手続きが煩雑で利用者増えず |
観光支援事業『Go To トラベル』 | 1.3兆円 | 再開の目途立たず |
地方創成臨時交付金(時短要請に応じた飲食店への協力金) | 3.3兆円 | 自治体の作業遅れで支給も遅れ |
公共事業関係費 | 4.7兆円 | 人手不足が影響。一部は執行の目途立たず |
中小企業などの経営転換支援 | 1.1兆円 | 交付手続き中 |
一方世界は…?
一方で世界の動きを見てみましょう。
2021年06月12日に時事通信は以下のように報じています。
『先進7カ国首脳会議(G7サミット)は11日の討議で、財政出動を通じた景気刺激策の継続で一致した
米国については、ワクチン接種の進展に加え、バイデン政権が巨額経済対策を打ち出したことを踏まえ、6.9%の伸びを予測。
昨年10%近いマイナス成長となった英国は、G7で最も高い7.2%にV字回復すると見込む。
これに対し、日本は4月から3度目の緊急事態宣言に追い込まれたことで、成長率はG7で最も低い2.6%に下方修正された。世界銀行が8日発表した日本の成長率予測も2.9%と、先進国平均(5.4%)を大きく下回った。
日本では、東京五輪の開催を機に感染が再拡大すれば、「8~9月に4度目の緊急事態宣言が出される」(BNPパリバ証券)との見方もあり、景気の下振れリスクが懸念されている。』(出展:時事通信)
予言通り、五輪下で感染が拡大。4度目の緊急事態宣言が発出!
大変残念ながら、悪い懸念は的中してしまいました。
『緊急事態宣言を13都府県に拡大
政府は20日、新型コロナウイルス対策として東京など6都府県に発令中の緊急事態宣言の対象地域に、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を追加する。
全国では19日、新たに2万5156人の感染者が確認された。18日を約1200人上回り、2日連続で過去最多となった。重症者は1765人で、前日より49人増え、7日連続で過去最多となった。
(出展:読売新聞)』
これからどうなるの?
本当にこのままで良いのでしょうか?
一定の補償がなされている飲食業以外にも、航空、宿泊、イベント、製造業、鉄鋼など、コロナでダメージの大きい業種はあります。
融資による延命は続きますが、返済の見込みがなくなったものから廃業が始まります。
廃業された業種をコロナ後に復興することは容易ではありません。
予算の組み換えや、追加の補正予算によって必要な業種に必要な補償を行うことに議論が進むことになるのでしょうか?
8月21日現在、国会は開かれていません。
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