障害者手帳と障害年金の等級について


私たちのまわりには、障害のある方や無い方、こどもやお年寄りなど、色々な方が暮らしています。

障害のある方は、それぞれの種類や程度によって、不便なことや困難に感じていることがたくさんあります。

 

今回は、障害を知ることの一歩として、混同しがちな、障害者手帳と障害年金の等級の違いについて整理しました。

 

  • 生命保険に入ろうか迷っている
  • 障害の申請をしようと思ってる
  • 障害の等級について知りたい

 という方は是非ご一読ください。

障害者手帳とは?


障害者手帳とは、らかの障害によって自立が困難な方や日常生活に支援を必要とする方に対し、自治体から交付される手帳」です。


手帳を取得することで、本人だけでなく、保護者や、その家族に対して、様々な税金の控除や福祉サービスを受けることができるようになります。

また、障害者手帳を提示することによって、障害者雇用枠での就労ができるようになったり、医療費が下がったり、障害者向けの割引などのサービスが受られるようになります。

障害年金とは?


年金というと、老後の生活を支える「老齢年金」のイメージがありますが、現役世代でも、病気やけがなどで生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含め「障害年金」が支給されます。

 

障害年金は、眼や耳、手足などの障害だけでなく、がんや糖尿病などの病気で長期療養が必要な場合なども支給の対象になります。

障害年金を受けられるのは、以下の支給要件を満たしているかたです。

  1. 公的年金に加入し、保険料納付済期間等を有す。
  2. 障害の状態が一定の程度にある

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

 

どちらをもらえるかは、病気やけがで初めて医師等の診療を受けたときに加入している保険によって決まります。

  • 国民年金に加入:「障害基礎年金」
  • 厚生年金保険に加入:「障害厚生年金」

障害者手帳の対象となる障害


障害手帳の対象となる障害は以下の通りです。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声・言語・そしゃく機能障害
  • 上肢・下肢・体幹障害
  • 心臓障害
  • じん臓障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう又は直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • 肝臓機能障害
  • 免疫(ヒト免疫不全)機能障害

厚生労働省ホームページより抜粋

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html

障害年金の対象となる障害


障害年金の対象となる障害は以下の通りです。

  • 眼の障害 
  • 聴覚の障害 
  • 鼻腔機能の障害
  • 平衡機能の障害
  • そしゃく・嚥下機能の障害
  • 音声又は言語機能の障害 
  • 肢体の障害 
  • 上肢の障害 
  • 下肢の障害 
  • 体幹・脊柱の機能の障害 
  • 肢体の機能の障害
  • 精神の障害 
  • 神経系統の障害 
  • 呼吸器疾患による障害
  • 心疾患による障害 
  • 腎疾患による障害
  • 肝疾患による障害 
  • 血液・造血器疾患による障害 

日本年金機構ホームページより抜粋

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

障害の等級とは?


障害の重さの程度を「等級」によって表すことがあります。

ただし、「身体障害者手帳」と、「障害年金」では、等級の分類が異なるため、混同してしまうことがあります。

 

例えば、事故などによって片手の親指を失ってしまった場合と、片手の親指と人差し指を失ってしまった場合を比較します。

 

「身体障害者手帳」では

  • 片手の親指を失う:4級
  • 片手の親指と人差し指を失う:3級

 

一方で、「障害年金」では

事故などによって片手の親指を失ってしまった場合は対象外、

  • 片手の親指を失う:障害手当金のみ
  • 片手の親指と人差し指を失う:3級

 このように、少しの差に思うかもしれませんが、等級が異なることで、受け取れる保証やサービスに違いが出てくることとなります。

 

以下に、上肢障害に関わる、等級の整理表を記載します。

身体障害者手帳の等級


身体障害者手帳の等級は、1〜7級に細かく分類されています。

 

等級は障害の程度を計るための基準です。

1級に近づくほど障害が重くなります。

6級以上に認定されると、身体障害者手帳が交付されます。

 

7級単独では交付対象にはなりませんが、例外があって、7級の障害が2つ以上ある場合や、等級の異なる障害が重複して認定された場合には、交付の対象となることがあります。

表 上肢障害に関わる、障害者手帳の等級

等級

内容

1級 両上肢の機能を全廃したもの
両上肢を手関節以上で欠くもの
2級

両上肢の機能の著しい障害

両上肢のすべての指を欠くもの

一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの

一上肢の機能を全廃したもの

一上肢のすべての指の機能を全廃したもの

3級

両上肢のおや指を欠くもの

両上肢のおや指の機能を全廃したもの

一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能を全廃したもの

一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの

一上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の3指を欠くもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の3指の機能を全廃したもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の4指の機能の著しい障害

4級

両上肢のおや指の機能の著しい障害

一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能の著しい障害

一上肢のおや指を欠くもの

一上肢のおや指の機能を全廃したもの

一上肢のおや指及びひとさし指の機能の著しい障害

親指又は人さし指を含めて一上肢の3指の機能の著しい障害

5級

 一上肢のおや指の機能の著しい障害

ひとさし指を含めて一上肢の2指を欠くもの

ひとさし指を含めて一上肢の2指の機能を全廃したもの

6級

 一上肢のおや指の機能の著しい障害

ひとさし指を含めて一上肢の2指を欠くもの

ひとさし指を含めて一上肢の2指の機能を全廃したもの

7級

一上肢の機能の軽度の障害

一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能の軽度の障害

一上肢の手指の機能の軽度の障害

ひとさし指を含めて一上肢の2指の機能の著しい障害

一上肢のなか指、くすり指及び小指を欠くもの

一上肢のなか指、くすり指及び小指の機能を全廃したもの

小樽市ホームページ抜粋
https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020111200210/

障害年金の等級


障害年金の等級は、1〜3級に分類されています。

障害等級表が、1級または2級による障害の状態にあるときは障害基礎年金が支給されます。

 

厚生年金に加入している間に1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

また、障害の状態が3級に該当する、2級よりも軽い程度の障害のときは、3級の障害厚生年金が支給されます。

加えて、3級よりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)のみ支給されます。

表 上肢障害に関わる、障害年金の等級

等級

内容

1級 両上肢の機能を全廃したもの
両上肢を手関節以上で欠くもの
2級

両上肢の機能の著しい障害

両上肢のすべての指を欠くもの

一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの

一上肢の機能を全廃したもの

一上肢のすべての指の機能を全廃したもの

3級

両上肢のおや指を欠くもの

両上肢のおや指の機能を全廃したもの

一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能を全廃したもの

一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの

一上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の3指を欠くもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の3指の機能を全廃したもの

おや指又はひとさし指を含めて一上肢の4指の機能の著しい障害

障害手当金

一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの

一上肢の2指以上を失ったもの

一上肢のひとさし指を失ったもの

一上肢の3指以上の用を廃したもの

ひとさし指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの

一上肢のおや指の用を廃したもの

日本年金機構ホームページより抜粋
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/tokyuhyo.html

まとめ


 

今回は、障害を知ることの一歩として、混同しがちな、障害者手帳と障害年金の等級の違いについて整理しました。

 

私たちのまわりには、障害のある方や無い方、こどもやお年寄りなど、色々な方が暮らしています。

今回の障害についての理解が深まったのではないかと思います。

 

また、上記の障害年金の制度についても知ることで、ライフプランニングにも活用してもらえれば幸いです。